会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフ Vol. 35 (2007年12月号)

目次
  • 田中康雄先生のドクターのつぶやき
  • ADHD治療薬に対するえじそんくらぶの方針
  • 要望書
  • 薬の話 コンサータ(R)錠
  • 品川裕香さんの子ども支援最前線『』
  • Dearずれちゃん
    ずれちゃんの今日も元気
  • るるこのまーいっか・・・・
    “伝える”ために
あらためて思う「今、本当に大切な支援とは」

11月24日のLD学会で、えじそんくらぶが企画した自主シンポ『「本人の思い」を重視した特別支援教育のあり方(司会・指定討論者:田中康雄先生、話題提供者:藤田晴美さん、品川裕香さん、高山恵子)』では、日ごろの思いを熱く語り合いました。藤田さんは、帯広の緑ヶ丘病院の田中先生のもとで多くの親子の支援をしてきた臨床保育士さんです。

定員110名の会議室は、40分以上前から参加希望者で長蛇の列、急遽、480名の大きな会場に変更し、400名以上の参加がありました。会場変更に伴う会場案内誘導などは、多くの方がお手伝いしてくださり、改めてサポーターの存在に感謝いたしました。

このシンポで私たちが伝えたかったメッセージは、「障害名をつけ、告知をしないと特別支援教育が出来ない」のではなく、本人の思いを大切にし、セフルエスティームを高め、特別なニーズに合わせたナチュラルな支援こそ重要。個々の違いを理解し、リスペクトし合うクラス作り・社会作りが大切」といういつものメッセージでした。「親を追い詰めない早期支援」「専門家の価値観ややり方を押し付けるのではなく、本人の思いや感情を言語化し、自立するための支援が重要」「個性との連続性があり、ライフステージで変化するので、移行計画こそが重要」など多くの提言が出ました。
診断名よりその子の特性の理解と受容が何より大切、「ADHDなど発達障害は理解と支援で個性になる」というえじそんくらぶの活動10年を振り返り、また再確認できました。

9月末にカナダのCOPEプログラム(ペアレントトレーニング)のインストラクター養成講座に参加しましたが、「ADHDは理解と支援で個性になる」と実感した人物に出会いました。

その人は、同じ講習会に参加したカナダ人女性で、ADHDと診断されたソーチャルワーカーでした。ワークショップで同じグループになり、講座終了後の車で移動中、いろいろお話をし、なおかつ自宅でのディナーにも招待してくれました。(この時のエピソードは9pをご覧ください)

彼女は、大学まで失敗体験が多く、何をやっても最後までできない、実力が出せない歯がゆさをずっと持っていたそうです。特に大学時代は大変で、一度ドロップアウトしてしまったということでした。話を聞いていて、私と共通点が多く、人種を超えて、ADHDの基本的悩みは普遍だと大きくうなずき、助手席で私は“ME,TOO!”を連発していました。彼女は、ADHDという診断名がついてから自分の課題がわかり、リタリンという薬に出会い、最終的には、大学に再度トライし、大学院を卒業するまでになったのです。

現在は、クスリも服用せず、個人でオフィスを構え、なおかつ薬物・アルコール依存になってしまった青少年の支援プログラムを病院で提供しているということでした。アメリカと比較してメンタルヘルスの専門家は少ないといわれているカナダですが、それでも日本から見れば、ソーシャルワーカーが個人オフィスをもち開業できるのですから、雲泥の差です。彼女は「依存で苦しんでいる彼らは、落伍者でもなんでもなく、皆いとおしい」といっていました。彼女に出会えた人たちは幸せだなと思いました。

現在、依存の問題が日本でも問題になっていますが、各種の依存になってしまった人を

専門的にサポートする施設やプログラムは、日本では十分ではありません。まだまだメンタルヘルスの分野では多くの問題が、山積しています。

彼女と話していて、改めてADHDという障害は個性との連続性があり、環境によって、ライフステージによって個性になったり障害になったりすると実感しました。彼女も自分が何が苦手か、どうして実力が出せないのか自己理解が進んでから不安もなくなり対処しやすくなったといってました。大変な時期には、やはりリタリンを飲んでいましたが、依存の問題は一度もなかったそうです。

ADHDなど発達障害はライフステージで状態や問題が変化しますし、環境の影響で日常生活の障害のレベルも変化します。彼女のようにADHDという特性を理解し、薬を一時的に服用しても依存にならず、自然に服用をやめ、社会に貢献できる人材になる人が、この日本でも増えてほしいと思います。そのためにも「自己理解の一環としての診断名告知」であり、一時的なトリートメントとしての効果的な薬物療法というプロセスを、日本でも早く確立したいものです。これからえじそんくらぶに何ができるか、また皆様とともに考えて行きたいと思います。    (高山恵子)

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