会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフVol.54(2011年2月号)

目次

  • 田中康雄先生のドクターのつぶやき
  • イギリス視察報告1
  • 品川裕香さんの子ども支援最前線
  • 点滴?みたいなQ&A 最終回
  • 事務局から
  • るるこの まーいーか・・・
  • AHDHのお薬をもらうときに・・・
  • ズレちゃんの今日も元気
  • 事務局から
  • えじそんママのHappy子育て
  • えじそんくらぶの会
  • エンジョイ☆ADHD
イギリス滞在で感じたこと

 年末年始にロンドンに急に行くことが決まり(なぜかいつも急…)、自閉症の専門家、内山登紀夫先生のご紹介で、今までの私の情報収集のカテゴリーを越えた視察ができました。 
 英国自閉症協会が運営するHelen Allison School(アスペルガー症候群・自閉症のある生徒のための学校)の心理士は、「感覚の問題は第4の自閉症の特性として掲げていいくらい支援の中でも重要なポイント。今まで自閉症の専門家は、この分野を軽視しすぎていた。」と言っていました。私も臨床で実感していますが、子育ての困難さや本人のストレスは、診断名の有無に関わらず、感覚過敏の要素が大いに関係してくるようです。(視察先の学校の詳細は3ページを参照してください。感覚過敏と洋服に関する情報は2010年NL6月号に掲載されています。)
 
 今回は札幌の児童精神科医中野育子先生とロンドンの視察をご一緒し、私の臨床上の疑問・質問なども話せたりと、本当に収穫の多い旅行でした。(中野先生とは、「ハプニングがあるのが普通」という波長が合い、かなりの珍道中で、苦笑・爆笑ネタがたくさんありました。話に夢中で、もう少しで特急電車を下車するのを忘れそうなスリルも味わいましたが…) 

 大晦日は、ウエストミンスター寺院(4月にロイヤルウエディングが行われる寺院)の横からビッグベンを見上げ、多くの外国人の中で花火と共に新年を迎えました。
 除夜の鐘でなく、ビックベンの24時の鐘を聞きながら、始まったロンドンの旅の間に、これからの自分の10年をどう生きるかいろいろ考えました。今回強く思ったのは「ADHD・ASD、そして障害の有無に関係なく、被虐待児なども含め、その子とその親(養育者)のストレスを減らし、その子の才能を引き出す支援がしたい。また、それが大切と思う支援者を増やしたい」ということでした。

 Stephen Wiltshireという1974年生まれの自閉症と診断された芸術家のギャラリーにも行き、その思いはますます強くなりました。彼は、Human camera(人間カメラ) と呼ばれていますが、約20分間NYの上空をヘリコプターで旋回したあと、地上でその光景をほぼ正確に思い出して描けるという才能の持ち主です。風景画が中心で、人は描かれていませんが、大変精密な絵で、写真と見間違うほど実物と同じように見えました。各国のテレビなどでも紹介され、ロンドンにあるそのギャラリーは世界中から人が来るということです。インターネットで検索してみると文書、作品の情報はもとよりYouTubeなどで本人の動画も見ることができます。是非皆さんも作品を味わってみてください。
 彼の絵を見て「もともとの能力を生かすも殺すも環境、環境が障害者を生むのだ」と強く感じました。特に私は、空間認知が悪く、視覚記憶も悪いので、ギャラリーでは本当に文字通り目を見張り、素晴らしい才能だと感銘を受けました。彼は一生懸命絵を描くという感じではなく、リラックスしながら、好きだから絵を描いているという感じです。
 
「アンバランスのまま育てる、アンバランスのまま生きられる、それが自然にできる学校、社会」であれば、多くの生物学的な機能障害を持っている人でも障害者にはならないな~と強く思いました。私たちはあまりにもできないところのトレーニングに力を入れすぎていないでしょうか? 能力を最大限発揮するために、まずストレス・不安を減らす方法を考えることが大切だと思いました。
 発達障害があると自律神経の調整が上手くいかないようです。覚醒・発汗・体温調整・呼吸・感覚過敏・睡眠・運動など、本人の努力や親の愛情・躾けなどとは無関係に体内でいろいろなことが起こっていて、自分でコントロールできない…。「わがままでない」ことを見つけてくれる人がいたら発達障害がある人の環境は大きく変わるでしょう。

My life in Seven words…Keep doing what I do best, drawing. (自分が得意なこと、「描くこと」を続けなさい)とステファンは言っています。私の場合は、やはりKeep doing what I do best, speaking.(自分が得意なこと、「話すこと」を続けなさい)でしょうか。
 最新の支援のスキルや知識を単に伝えるだけでなく、障害観や教育・療育の目標、自己理解・他者理解を深め、再考する機会になるような講演をこれからもしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 あなたは自分に言うとしたら、Keep doing what I do best, best,_______ing.の最後にどんな言葉を入れますか?この2月は、人生の節目を迎えている人もいると思います。
皆様にとっていい一年でありますように!               (高山恵子)

カラフルライフVol.53(2010年12月号)
カラフルライフVol.55(2011年4月号)
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