会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフVol.52(2010年10月号)

目次
  • 田中康雄先生のドクターのつぶやき 
  • 希望の光がさす時  
  • 品川裕香さんの子ども支援最前線 
  • 点滴?みたいなQ&A 
  • るるこの まーいーか・・・
  • ADHDとどうつきあう? AERAアンケート結果より
  • ズレちゃんの今日も元気
  • DO-IT JAPAN体験記
  • えじそんママのHappy子育て 
  • えじそんくらぶの会 
  • エンジョイ☆ADHD 
障害の理解と対応

 玉川大学で集中講義を担当しました。受講生の中に、ルーペで配布資料を見ている学生さんがいました。弱視だと気がつきましたので、「拡大コピーの必要があるか、なにか必要なサポートがあるか」とすぐに聞いたところ、彼の答えは「NO」でした。パワーポイントを見る時、配付資料を見るとき、必要に応じてルーペを使い分けて、支障なく勉強していました。彼はしっかりと自分の障害を理解し、日常生活で困らない工夫をしていました。
 クラスメートたちも、自然に一緒に授業を受けていました。同級生による差別的な発言や、いじめにつながる心無い言葉は無いようです。これも大切な環境因子でした。
 「障害の理解と対応」は、本や講演会で学ぶことも大切ですが、「一緒に生活する」中から自然に習得するのが理想と痛感しました。

 最近、「ふれあい囲碁7」の説明書にある点字解説をお願いしたご縁で、厚生労働省にお勤めの視覚障害がある吉泉さんに色々とご相談する機会があり、視覚に障害のある方の理解と、対応法が少しわかるようになりました。一緒に行動するだけで色々な学びがあるのです。視覚障害のある人も一緒に楽しめる「ふれあい囲碁7」を作成する過程で、視覚障害者の方の「ナチュラルな理解と支援」が習得できたのは、想定外の収穫でした。
 
 視覚に障害のない人を「晴眼者」と呼ぶことも最近はじめて知りました。視覚障害者の対義語として用いられているそうです。

 正確な情報のインプットという処理において、私は、吉泉さんに劣ることも発見してしまいました。円滑なコミュニケーションのためには、情報のインプット(読む、聞く)、認知処理(理解する、記憶するなど)、アウトプット(話す、書く)があります。ADHDやLDなど発達障害があると、「正確な情報のインプットと処理」は、「晴眼者」であっても困難であるということです。
 
 吉泉さんも参加する勉強会の参加者リストが、メールで送られてきた後の会話です。
 高山:東大のヤマシタ(仮名)先生が参加ですね。
 吉泉さん:「ヤマシタさん」でなく「ヤマナカさん(仮名)」だと思います。
 高山:そうでしたか? 勘違いしました。
と、こんな調子です。

 私は、インプットのところでは、「晴眼者」なので、字は普通に読めます。しかし集中力がなく、細部がよく読めない、文字を正確に認識できないので、「ヤマシタ」でなく「ヤマナカ」と間違えて処理していました。そのため、間違った情報のままアウトプットした、ということです。
 一方の吉泉さんは、確かに視覚障害はありますが、自動読み上げソフトつきのPCで正確に読み上げられた内容を、正確に暗記しているため、情報を正確にインプット(聞く)、認知処理(記憶する)、アウトプット(話す)ができているのです。
 改めて、私の「目は節穴」であると痛感したところです。

 私はよくメールを書きますが、誤字や脱字が多いのです。しかし、吉泉さんから頂くメールは、長くても間違いがないので驚きました。その理由を聞くと、吉泉さんは、音声読み上げソフトで、ご自分の書いたメールをしっかり確認するそうです。私は、メールを読み直して送ることをほとんどしないのです。それに、長いメールは、飛ばし読みをする、最後まで読まない、読んでいるうちに最初の内容を忘れる、などをしてしまいます。
「晴眼者」であっても、このように認知機能に障害があったり、眼球運動に問題(調整機能障害等:詳細は「ちゃんと見えているかな」:えじそんくらぶ小冊子をご参照下さい)があると、コミュニケーションや学習に支障が出ます。そして、それに気がつかないと、本人の努力不足、もしくは「自分は無能だ」という事実でない認識で、親子が悩み続けることになるのです。
 
 障害を理解するということは、その障害の一般的な特性を箇条書きにできることではありません。「その人の日常生活での支障が、その障害特性に起因していることを理解すること」なのです。そして、障害への対応とは、日常生活での支障を減らすことであり、出来ないことをトレーニングするだけでなく、ほかの能力で補うこと、支援機器を活用することでもいいのです。
 「なんで忘れたの?」と過去の出来なかったことに注目するのではなく、「どうやったら思い出すかな?」と、忘れることを前提に対応策を持つトレーニングも重要です。         (高山恵子)

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