会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフvol.93(2017年10月号)

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  • エンジョイ☆ADHD/編集後記

(被災地熊本から、えじそんくらぶ通信は都合により休載します)

『宿題の効果は本当にあるのか?

夏休みも終わり、いよいよ二学期がスタートしました。皆様は、夏休みの宿題は、きっちりやる派ですか?やらない派ですか?

デューク大学のクーパー氏の宿題の効果に関する研究があります。

「小学生が宿題をどれだけやっても成績は向上しない」「中学生でも成績を向上させるよい影響はほとんどない」「高校生になってようやく効果が出るが、それでも1日2時間が限度で、それ以上宿題に時間をかけると効果は減少していく」ということです。宿題の内容は不明なので、日本社会でも同様な結果となるかは、わかりませんが、興味深い内容です。

これまでの「宿題支持説」では、宿題は学校学習を強化しつつ「責任能力」を養うひとつのツールであり、親との自宅教育につながる機会と言われていました。クーパー氏は、責任能力は、親に言われた手伝いなどでも養え、学校学習は重要ですが、「良い睡眠」「家族との時間」「遊ぶ時間」もまた子どもには、重要であり、宿題でこれらの時間を削っても良い影響は得られないとしています。

この報告を読んで、私はとても嬉しくなりました。なぜって小中学生の時、いつも宿題は「いい加減」にやっていたからです。両親は忙しかったので私の宿題をチェックするということはほぼなく、人数の多いクラスだったので、先生も「いい加減」で細かいチェックがなかったのです。そして漫画や推理小説を読んだり、日記をつけたり、卓球に励んでいました。今考えると、少女漫画はソーシャルスキル、推理小説は論理的思考、日記はメタ認知の強化と文章力の訓練になっていたと思います。部活の卓球ではドーパミンを出して、リアルな対人関係の中で、思い通りにいかない理不尽な環境に耐える苦い人生のプチ練習になったと思います。

ADHDのある人は、自分の能力にあっていない難しすぎる課題、多すぎる量の課題を無理やり強制されると、気がそれて他のことを考える時間が長くなるということがわかっています。合理的配慮は宿題の質と量にこそ、お願いしたいと思います。

通常のクラスでも知的レベルは様々です。その中で、一種類の宿題を出して、それを全員がやらなければいけないということ、これは本当に平等で、効果的な教育法なのか、私たちはしっかり考える必要があります。たとえば、漢字を10個ずつ書くという宿題。一度漢字をみたら、すぐ覚える子もいれば、十回書いても覚えられない子もいます。この事実に対して、本当に漢字を十個ずつ書くという作業がクラスの生徒全員に対してふさわしいものなのか、ということです。

学校の先生に向けてこの話をすると、学んだものを定着させるため、家庭で勉強する習慣を身につけるため必要だと言いますが、「クラス全員に同じ量の宿題をさせることによって、本当に定着しているのか」をしっかり検証する必要があります。宿題の量が多すぎて、睡眠時間を削らなければいけない子どもたちもいます。最近の研究では、脳は?睡眠の間に必要な情報を記憶し、いやな感情など不要なものは消し去るという作業をしている、ということがわかりました。このことを考えると、その人に合っていない、難しく量の多い宿題をすべてやるということで、睡眠時間が減るという状況があったとしたら、確かに先ほどのアメリカの「宿題の意味はない」という研究結果につながってくると思います。

さらに、ネットで何でも買える時代になりました。何と、工作や手芸の作品などが販売され、自由研究請負業者もいるようです。こうなってくると、本当に夏休みの課題の意味が全くないように思います。その子に合った量と内容で、好奇心をはぐくみ、自主性を引き出すような宿題になれば、ずいぶん日本の教育も変わっていくことでしょう。

高山恵子

カラフルライフvol.92(2017年7月号)
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