会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフvol.89(2016年12月号)

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  • 4コマンガ/2017年夜間講座案内 他
  • 向井義先生のライフコースを広げよう
  • 合理的配慮の時代の支援とは (長谷川理事)
  • えじそんくらぶ便り その8
  • 「Know Youself, Know ADHD」
  • 平成29年度会員更新に関するご案内
  • 会員さんのエッセイ「子育ての途中」
  • えじそんくらぶの会 活動予定/ えじそんくらぶの会の設立について
  • エンジョイ☆ADHD
SOSを求められることも1つの才能

早いもので、今年ももう12月になりました。この1年は皆さんにとって、どんな1年でしたか?

先日、音楽家でプロデューサーのつんく♂さんの対談番組を見ました。シャ乱Qのボーカル時代は、奇抜な衣装で注目され、その後とても良い音楽を生み出し、あのモーニング娘。を世に出したことでも注目を浴びました。そんなつんく♂さんが、咽頭癌で声帯摘出手術を受け、歌えない、話せないという状態になってから、また音楽現場に復帰したというのは素晴らしいことだと思います。現在、NHKの番組でクラシックの編曲等も手がけているそうです。つんく♂さんは司会者の質問に対する答えをコンピュータに入力し、その回答画面が写し出され、テレビを見ている私たちもリアルタイムで読むことができました。声は出せないけれどコミュニケーションできるという、今のコンピュータの活用の可能性を改めて感じました。

約30年位前に、インターンシッププログラムで、日本の文化を紹介する日本語のボランティア・ティーチャーとしてアメリカの小学校に行ったことを思い出しました。私がまだ特別支援教育の知識も体験も全くなかった時代のことです。当時すでにアメリカでは、脳性麻痺等の肢体不自由の生徒さんたちも、地域の同じ小学校のリソースルームか、通常学級に在籍していました。その子の障害の程度に合わせて、トーキングエイドなどを使って適切なサポートの下、コミニケーションできました。

その後、時を経て、日本でもいよいよ今年度から合理的配慮が施行されるようになりましたが、現場での導入はなかなか難しいようです。同じことをするのに慣れている私たち日本人にとって、違う条件で勉強するということに大きな違和感があるようです。とても残念なのは、親と先生が合理的配慮の導入を進めたいのに、本人が希望しないケースです。「みんなと同じに」という思いが強いと、せっかくの特別支援教育も逆効果になることがあります。

ある講演会で、「発達障害のある子どもを育てるのに大切なことは何か?」という質問を受けたときに、私は「SOSを求められる子に育てること」とお伝えしました。そのためには自己理解が不可欠で、今の段階で何ができて何ができないか、そしてどんなサポートがあれば何ができるようになるのか、これを親子で支援者と一緒に探していくことが、自立に向けて重要だと思います。

発達障害もしくはそのパステルゾーンの場合は、年齢とは関係なく、自分でできることとサポートがあるとできることの正確な見立てが必要です。そして、失敗からの回復力も大切になります。さらに、しつけ、療育、指導の前に、安心安全、不安と怒りのコントロール、つまりストレスマネジメントが基本と感じています。特に、アドバイスや指導を、自分の存在を否定されて理不尽だと勘違いし、怒りのスイッチを入れてしまうことが本当に残念です。合理的配慮というとICTの導入というイメージが強いですが、不安を取り除き、怒りをクールダウンするサポートも大切な配慮になります。

このたび講談社で、『イライラしない、怒らない ADHDの人のためのアンガーマネジメント』という本を出版させていただきました。1人でも多くの方にお手にとっていただき、お互いが幸せになるために、ご自分に合った怒りのコントロール方法を見つけていただければと思います。

少し早めですが、皆様が穏やかな年末年始をお迎えになることを心からお祈りします。来年が皆様にとってよりよい年でありますように。 高山恵子

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