会報(ニュースレター)一覧

カラフルライフvol.83(2015年12月号)

  • 品川裕香さんのLD支援最前線70
  • 会員さんからのQA(中野先生・向井先生)
  • 向井義先生のライフコースを広げよう
  • 05 えじそんくらぶ通信 その2/復刻版4コマ漫画
  • 平成28年度会員更新に関するお知らせ/各種講座案内/文科省への提言に関するご意見募集
  • えじそんくらぶの会 活動予定
  • エンジョイ☆ADHD/冬休みのお知らせ他
『存在と行動を分ける』

早いものでもう12月になり、2015年もあと1か月になりました。皆様の1年は、どのような1年でしたか?

10年以上発達障害のある方の支援に携わってきましたが、発達障害があっても予後がよい方と、発達障害の一次的な特徴はそんなに強くないのに二次障害が強く出て、本人も家族も困っている場合があります。

この違いはどこからくるのかということをずっと考えてきましたが、やはり重要なのは、小さい時に安全の欲求を満たすということなのだと思います。
しかし,たとえ乳幼児期に運悪く安全の欲求が満たされなかったとしても、その後のライフステージのどこかで「自分は自分のままでいいんだ」と気づけたり、「アンバランスがあるけれども、何か人のために自分の能力を使い、感謝される体験」や「助けてもらって感謝する体験」がある方の予後は、そこからよくなる気がします。

最近、私はADHDだけでは説明がつかない、作業記憶障害に悩まされています。つまり、老化による作業記憶障害と実行機能障害によるダブルパンチで、しっかり対策をとらなければ!と考えているところです。

認知症に関する話題は、メディアなどでもよく取り上げられます。認知症の中核症状のほかに、やはり二次的な障害が大きな問題になっています。私が感じるのは、ミスもなく優秀だった人ほど、自分の物忘れの状態を許せず、自分や人を責めることが多くなるのではないか、2次障害になりやすいのではないかということです。

たとえば、「うっかり」という体験が若い時なかった人が、加齢とともに、うっかりの状態になったと考えてみましょう。ADHDを受容できている人だったら、「ああ忘れちゃった、ごめんなさい」とすぐに謝る習慣が身についていますが、その体験がなかった場合は、「自分はこんなこともできないのか」とひどく落ちこんだり、「自分には間違いはない。あなたが間違っている」と相手を非難したりするかもしれません。そして、もし自分のミスだった知った時、その後のショックは大変大きいのではないかと思います。若い時に完璧な人で、他人のうっかりミスを許せない人ほど、この傾向は強まるのではと心配しています。

この対策としてやはり大切なのは、「存在(人格)と行動を分ける」ということでしょう。うっかりミスがあっても、ただ「行動」がNGなだけで、「存在」には変わらず価値がある、ということです。うっかりだからといってダメ人間ではない、とみんなが考えられる世の中になるということは、ADHD等発達障害の理解・啓発だけではなく、認知症の理解・啓発にもつながるでしょう。

発達障害や発達障害のパステルゾーンという自己理解があり、対応策がとれている人は、もしかしたら認知症を合併したとしても、二次障害がないのではないかと思うのです。その意味で、うっかりを自認されている方は、老後のリハーサルをしているんだと気楽に考えてみるのもいいですね。ちょっとしたサポートがあれば人生のQOLは下がらないのです

4月から、合理的配慮がスタートします。診断名がついて、専門家からの指示があったから合理的配慮をするのではなく、人は皆アンバランスだからこそお互いに助け合ってみんながスムーズに生活できるようにする。そういう社会にしたいものです。

来年は皆様にとって、どんな年になるでしょうか?よい年末年始をお迎えください。(高山恵子)

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