えじそんくらぶの活動報告
会報(ニュースレター)一覧
目次
- 田中康雄先生のドクターのつぶやき
- こころへの手紙(東京「E-CHAP」代表 井手籠栄理子さんのエッセイ)
- 品川裕香さんの子ども支援最前線『特別支援教育を障害児教育の新しい呼称にしてはならない理由』
- 世界10カ国における家族調査より調査報告
- ICFってなんだろう??
- 医療の中でできる支援
- ズレちゃんの今日も元気・行政の情報など
ストレスマネジメント
「育てにくい子に悩む保護者サポートブック」に親御さんのストレスマネジメントの重要性を紹介したところ、いろいろ反響がありました。最近は、関連講座も書籍も多く、親御さんも発達障害の知識はすでに十分あり、講演会の講師を務める人もたくさんいます。ところが、頭でわかっていても実際になかなかできない・・・。「叱責するな」と言われても、結局怒鳴って終わってしまうということが現状のようです。これは親だけでなく、すべての人に言えることかもしれません。まず自分の心が安定していないと、理論通りには動けないと言うことなのでしょう。
ストレスマネジメントの一番の基本は、「自分を見つめること」です。何がストレスの原因(ストレッサー)か、まず客観的に見る習慣をつけることがスタートポイントです。ストレッサーは人によって違います。例えば、定例会などでよく聞くのは、周囲の人が子どもの障害を理解してくれない・子どもと話がかみ合わない・部屋が片付かない・主人と子どもがいつも忘れ物をする・自分も忘れ物が多くなった・理解しているつもりでも子どもを叱責してしまい自己嫌悪になる・学校との連携がうまくいかない・何でも一人でやらねばと思ってしまう・何回言っても子供がぐずぐずしていてやらないなどです。親自身にも同じような傾向があると、ストレスが二重三重になります。早い時期にストレスをマネジメントするスキルを身につけ、「がむしゃらにがんばって疲れる」状態を少なくすれば二次的な障害を減らすことにつながります。
ストレッサーが何かと分析できたら、次にどのような変化が心と体に起こっているか、さらに客観的に観察してみましょう。例えば、イライラする・物を投げたくなる・泣きたくなる・甘い物を食べたくなる・お酒を飲みたくなる・胃痛・腹痛・頭痛など体調が悪くなる・ボーっとする・何もしたくなくなる・衝動買いをしたり八つ当たりをしたくなる。
その心と体の変化をレベル①~③または⑤に分けて、それぞれのレベルにあわせた対応をしてレベルダウンすることがストレスマネジメントの一つです。レベル①の時には、レベルゼロにクールダウンすることは簡単ですが、レベル⑤からレベルゼロに戻ることは、非常に困難になります。レベル⑤になってしまう前に、少しでもレベルを下げることができると楽になります。
親のストレスのはけ口が子どもへの叱責になることもよくあることです。子どもも学校でのストレスを上手に発散できずに、家でお互いがストレスレベル⑤になっている時に、思いもよらない言葉を口にしたり後悔するような行動をしてしまうことがあります。発達障害のある子の多くは、セルフモニタリング力が弱いと言われています。つまり、「自分がストレスにさらされて過剰に反応している状態であることさえも気がつかない」ことが多く、周囲がそれを冷静に観察・分析し、ストレスレベルを下げるサポートが不可欠です。
これは、ソーシャルスキルの重要な要素でもあり、「自分の思いを言語化する」ことでストレス発散できることもあります。ところが最近は、メールなどの普及により会話でのコミュニケーションが少なくなっています。話したくてもなかなか話す機会がなかったり、子育てサークルなどの機会があってもすぐに会話に参加できなという悩みも耳にします。これは、親だけでなく、学生や社会人全体に共通して言えることのようです。4月に北大の田中康雄先生の大学1年生のクラスで「ちょこっとチャット」を小グループに分かれてやってみました。入学したばかりでほとんど発言をしなかった学生さんたちも、15分位やるだけでもかなり和やかな雰囲気になり、会話が進むようになりました。ひとつの質問に対して、みんなで自分の考えを言い合うというワークでは、「他の人も同じことを考えていることがうれしかった」「自分と全く違う意見があって参考になった」という感想がありました。この「共感と異なる価値観に触れること」の体験は、とても重要で、この感想は親のワークの場合も共通でした。
このように、ちょっとしたツールを使い、言語化するワークを、学校の授業や親支援の場などでも試していただきたいと思います。安全な環境で自己表現することは、代表的なストレス発散方法の一つです
他には「笑うこと」です。実は、自分のミスを笑い話にするには、「自分を客観的に見る」ことが不可欠で、そのトレーニングになります。懇親会などでお会いした時には、大笑いしましょう!(高山恵子)