えじそんくらぶの活動報告
会報(ニュースレター)一覧
目次
- 田中康雄先生のドクターのつぶやき 2
- とんとこの風景⑮
特集発達障害者支援法を受けて(前編) - 品川裕香さんの子ども支援最前線 6
- Dearずれちゃん(CHADDのエピソード)
- お知らせ・情報 投稿から
発達障害者支援法成立~これからの課題~
2004年は、NPOえじそんくらぶにとっても激動の年でした。えじそんくらぶ設立当初から、署名運動や要望書提出といった活動より、支援者、理解者を一人でも増やすという目標のもと、指導者養成講座・冊子の発行などに力を入れてきました。そんな折、「21世紀の特殊教育の在り方について」を受けて軽度発達障害のある子を支援する「特別支援教育」実施の流れとなり、日本自閉症協会、全国LD親の会、そしてAD/HDの支援団体としてNPOえじそんくらぶの3団体合同で活動させていただく機会が急増しました。
それだけでなく、この間、臨時国会で法案成立、関係団体の記者会見に至るまで、関係機関・関係議員の勉強会をはじめ挨拶まわりなど、初めてで戸惑うことも多々ありましたが、その度に3団体の関係者の方々にはいろいろ教えていただき、本当にお世話になりました。
AD/HDのある子のなかには自閉症的要素を持っていたり、学習障害が並存障害としてあったり、3つの障害が重なり合っていたりと複雑なケースが多いのが臨床の現場です。また、わが子の発達障害を知らなかったことからくる虐待、母子保健体制の不備、専門家の少なさと連携の悪さ、不十分な教育と地域支援、社会の無理解、家族関係の悪化など、「軽度発達障害」として共通な問題は言及すればきりがありません。このことからも3団体が連携して活動する意義は大きいと思われます。
そして2004年12月3日ついに、発達障害者支援法が成立! 自閉症、LDだけでなくAD/HDがはじめて障害と認められました。しかし、発達障害者支援法により、さらに学校でのいじめや社会での差別が助長されるのではないかという不安があります。また「発達障害者支援法」は、理念法的なものであり、具体的な支援対策・事業については言及されていない事が最大の問題です。
このままでは「支援法」も「絵に描いた餅」で終わってしまう可能性が高いのが現実です。この支援法の運用の強化に向けさらにNPO法人アスペ・エルデの会、NPO法人EDGE(ディスレクシア・読字障害の支援団体)を加えた、5団体が連携し、「日本発達障害ネットワーク(JDD Net)」の成立に向けて準備が始まっています。
日本では、周囲の冷たい視線や障害者を排除しようという考え方はいまだに根強く、その排他的な環境は、先進国の中では最低といえるでしょう。個性の範疇から障害のレベルまで連続性があり、能力のアンバランスが特徴である軽度発達障害は、ちょっとした理解、サポートがあれば、十分自立可能な場合があり、従来の福祉型の支援より、教育型の支援を必要としているケースもあります。
ところが「障害」という言葉から湧き出る不安、漢字のニュアンスからくるマイナスの印象、周囲の冷たい視線、それに加えてお母さんのしつけのせいという責め・・・。何かができないことという一次的な器質的な障害より、こうした人々が作り上げる無理解やいじめからくる二次障害のほうが当事者や家族には辛いものです。子どもはだれでも環境に左右され、影響を受けやすいものです。その中でも軽度発達障害のあるお子さんは特にその影響を受け、行動や状態像が大きく変化するといえるでしょう。
「多動があってもなくてもあなたはあなた」「こだわりがあってもなくてもあなたはあなた」 そう思ってくれる人が増えたら、きっとその子らしい生き方ができるようになるのでしょう。体の大きさや声の質がみんな違うように、それらはみんなその子の特性です。特性はその子の一部であってすべてではありません。そのことを忘れさえしなければ、おのずとかかわり方がかわってくるのでしょう。
この法律の成立を契機に「障害って何だろう」またみんなでじっくり考えてみるべきだと思います。その過程で「親子関係って何?」「個性、家族、学校、社会って何?」という疑問が同時に生まれてくることでしょう。障害は「差障りがあり害がある」ものという漢字からくる感覚が差別を誘発しやすいといえます。「障害は理解と支援で個性のひとつ、特性のひとつ、才能のひとつになる」このえじそんの理念をさらに広める活動を今こそ進めるべき時だと思います。その一歩としてクラスや学校、家庭、社会で、助け合える環境作りが基本です。自分も他人も追い詰めないコミュニケーションを一人一人が心がけて行きましょう。(高山)