えじそんくらぶの活動報告
会報(ニュースレター)一覧
「共感」の力
今年は台風や地震の被害が多く、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。特に新潟はこの夏、大きな講演会を開催したこともあり、心が痛みます。何かできることがあればと考えつつも日常の多忙さの中で何もできなく、はがゆい思いです。ボランティアも全国から集まり「話を聞く」という担当もいたそうです。つらい出来事や感情を話して、人に聞いてもらい、共感を示してもらえると心が少し和むものです。
AD/HDなどがあってミスをした時、「大変だね」とその特有な苦悩に共感してもらえないと、つらいものです。しかし能力のアンバランスがありながらも社会で活躍している人たちは「いい先生や友達に出会った」「自分の好きなこと、得意な事を見つけられた」「理解者がいて、共感して助けてくれた」という返事が返ってきます。
今年のCHADDの基調講演でも同じことが話題になっていました。医師であるエドワード・ハウエル博士は、ハーバード大学のAD/HD研究者として研究論文も多く、全米でも有名です。日本でも「へんてこな贈り物」という本などが出版されています。しかしご自身もAD/HDとLDがあり、小学校時代に、「字が読めない、勉強ができない」といったつらい体験があったことはあまり知られていません。講演では、研究者や医師としてではなく、AD/HDやLDのある当時者としての体験談をいくつも紹介しました。
エドワード少年が小学校の国語のクラスで音読をする時の話があります。みんなが読めるのに自分だけ読めなくてつらい思いをしている彼のそばに、必ず担任の先生がそっと寄り添って肩を抱いてくれたそうです。そんな先生のクラスでは、悪口をいう子もなく、字が読めなくてもエドワード少年は、学校は楽しいところと思えたそうです。ハウエル博士が「今でも私は、教科書が読めないときに、担任の先生が僕を抱きかかえてくれたそのぬくもりを覚えている。この先生がいたから今の自分がある。」と感慨深く話したときは、広い会場のあちこちからすすり泣く声が聞かれました。その後、「理解の無い先生が担任になったときは、自尊感情が傷ついた」という話になり、古今東西ここに話は行き着くのだと痛感しました。
アメリカでは科学的研究で立証される有効性を重んじてその結果、対応することが基本的アプローチです。ところが、昨年も今年も、わざわざアメリカの CHADDで聞く内容?と感じるほど、東洋人が昔から大切にしている、「人とのかかわり、暖かさ、共感」といったファジーなものが、基調講演のコアの話題になっています。観衆の反応もスタンディングオーベーションとなっていて、西洋の価値観の東洋化とさえ、思われました。
アメリカの影響を受けて、日本でも遅ればせながら発達障害者支援法が、国会で審議されることになりましたが、この支援法によって逆に「障害のある子へのいじめ」や「障害のある人への差別」が生まれるのではないかという意見も聞かれます。本来共感するこころがあれば、いじめなどは少なくなるはずです。
軽度発達障害は「見えにくい障害」です。能力にアンバランスがある状態は、なかなか理解されませんし、共感もされにくいものです。軽度発達障害はそれ自体より無理解、孤立感や自信喪失から自尊心が低下するという、環境による二次障害が問題であり、支援法により二次障害が増えるようであれば意味がありません。
生物学的に同じ機能障害があっても環境が違えば、日常生活での支障は違います。つまり、二次障害の原因は、その人が属する文化の価値観に大きく関係があるのです。アメリカで実施されていることをただ真似するのではなく、日本の社会にあった支援を考えることが今後の課題でしょう。その意味で、もっと既存の私たちの文化や昔から地域にあるものを有効活用できるのでないかという思いを強く持っています。
私の講演参加後の感想文に「AD/HDという言葉は始めて聞いたけれど、共感するという、自分の対応が間違っていないことがわかってよかった。」と書いてくださる先生がいます。
学校や家庭でうまくいかないけれど、地域の祭りで太鼓が上手で、自尊感情の高い子がいます。心理学なんて全然知らなくても、近所のおばさんが親身になってガキ大将の話を聞いてくれる光景があります。
「共感」は私たち日本人が日常生活の中で自然にやっている(やってきた)ことであり、「人は人とのかかわりの中で、癒され成長する」ことは、アメリカの基調講演を聞く前から日本人は知っていましたし、「共感しあうこと」の有効性が立証される前から、感覚でいいことだと感じ、実行してきたことではなかったでしょうか。それが、アメリカナイズされることで、いいものが失われている状態と言えないでしょうか。
一番新しいものは、実は古いことだったりします。混沌としている今こそ、私たちにできるまず「共感する」ことをまた始めませんか。 (高山恵子)
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目次
- ドクターのつぶやき
田中康雄先生のエッセイ ~早くも冬、そして雪~ - CHADD雑感
10月26日から11月1日まで開催されたCHADD参加報告(高山) - カラフルキッズ
むにゅむにゅ君を作ろう(札幌ADHDの会「いーよ」子どもレクより)
私の片づけ方 - 子ども支援最前線
品川裕香さんが取材した特別支援教育の現場の様子。今回はCHADDの報告です。 - Dearずれちゃん
CHADDの感想と印象 - 薬以上のもの・その後
- えじそんくらぶの会 「ボクたちのサポーターになって!2」掲載の親の手記のその後「高校受験から3年」
- 各会の活動予定
- Time TimerR・編集後記
残り時間や時間の経過を視覚的に「感じる」ことができる時間管理支援ツールとして、15年に渡り世界各国で大人気の「タイム タイマー」を、日本ではNPOえじそんくらぶが取り扱うことになりました!(HP上ではまだお取り扱いしておりません)