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カラフルライフ Vol.14 (2004年6月号)

追い風の中で

この原稿の内容についてご理解いただくために、ICFの概念を念頭に置いて読んでいただきたいと思います。当法人出版の冊子「アスペルガー症候群の理解と対応」には、ICFの話が詳しく掲載されていますので、ご参照下さい。

すでに新聞記事などでご存じの方も多いと思いますが、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)、AD/HD・LDなどを総称する発達障害に対して今後、包括的な支援体制の構築を推進するための立法など幅広い取組をすすめるために「発達障害の支援を考える超党派議員連盟」が設立されました。

「発達障害者支援法案」の今国会成立に向け、5月19日には、橋本龍太郎元総理を会長に議員設立総会が開催され、私もAD/HDの支援団体の代表として、全国LD親の会・自閉症協会の代表の方々と共に招待されました。3分間スピーチする機会を頂き、44名の議員の方々に「ボクたちのサポーターになって!!1」とリーフレット「実力を出しきれない子どもたち」を進呈しました。

今まで多くの方に、AD/HDを持つ当事者と家族の悩みや苦しみを伝えてきました。また、自民党の勉強会をはじめ、関係団体の懇談会などには東京・奈良・静岡・新潟・福島・北海道などのえじそんくらぶの会の代表も積極的に参加しています。これまでの活動は次ページにまとめましたが、この2~3年で大きく流れが変わりました。このような活動の積み重ねが認められ、微力ながら「支援法案」にも係わる事が出来、えじそんくらぶを設立した意義があったと痛感します。軽度発達障害は、障害者基本法が定める「障害」には含まれないため、既存の福祉サービスが受けられないなど対策が立ち遅れている現状を考えると、十分な内容とまではいきませんが、まずこの種の法案が通過することは、大きな意義があると思われます。

しかし、一方で、AD/HDのある子(人)をあまり障害児(者)扱いしてほしくないという、複雑な思いもあります。すでに一部の学校では、「あの子はAD /HDで障害児だから、通常学級での指導は無理です。特学に行ってください」と言うような対応をされることがあるようです。この法律が成立することで、このような状態が増えることを私たちは、決して望んでいません。

学校では通常、同じ指導法でクラスの全ての子どもを教えようとします。そして、軽度発達障害の概念を知らないと、できない子がいると、その子が悪い・その子の努力が足りないと簡単に判断し、叱責する傾向があると思います。でも、もしかしたら、教え方を変えることにより、子どもの秘めた能力を引き出せるかも知れないのです。これからの特別支援教育では、普通学級でも子どものニーズに合わせて指導法を少し変えることが理想となります。普通学級からすべての軽度発達障害のある子を追い出すことではないのです。

私は、小学校の頃、忘れ物が多い生徒でした。そのためによく立たされたりしましたが、自分が悪いのに、なぜかクラスメートの前で罰を与えられた屈辱感だけが残り、少しも反省しなかったことを、今でも鮮明に覚えています。しかしある時先生が「教科書を忘れたら、休み時間に隣のクラスの子に借りなさい」と言いました。その通りにすると、忘れ物が引き起こす日常生活での支障が、かなり減りました。消しゴムや鉛筆は、クラスメートがさりげなく貸してくれ、そのうちに、筆箱は別にワンセット学校に置いておくことを考えたりしました。

アメリカでは、AD/HDと診断された生徒には、個別学習プログラムに「教科書を2セット用意」と書かれている場合があります。これを見た時、「私が小学生の頃、AD/HDを知っている人は学校にいなかったし、特別支援教育もなかったけれど、ニーズに合わせた対応があった」と思いました。たまたま快く貸してくれるクラスメートとそれでよしとする先生だから私は救われましたが、今はどうでしょうか。バカにされたりするのがいやだったり、恥ずかしくて「貸して」と言えない子どももいます。様々な理由で、忘れ物の貸し借り禁止としている学校も多いようで、借りることは悪いことと思っている子もいます。助けを求められず、まさにICFの環境因子によって活動に制限されてしまうケースです。

コーディネーター・校内委員会、診断名などがなくても、できるサポートはあると思います。その子の特性をよく観察し、アプローチの仕方を少し変えてあげることができれば理想だと思います。

今後も軽度発達障害の真の理解と支援の輪を広げるため、ICFモデルの理念のもとに活動推進する予定です。皆様のご協力をお願いします。(高山恵子)

目次
  • 特別支援教育に関わるこれまでの主な活動
  • ドクターのつぶやき
    郷に入っては、郷に従う
  • カラフルキッズ
    「買い物」を考えよう
  • 子ども支援最前線
    品川裕香さんが取材した特別支援教育の現場の様子
  • 「生き辛さ」から見えてくるもの
  • 成人AD/HDの方にカウンセリングとコーチングをされているカウンセラーから解決へのヒント!
  • Dearずれちゃん
    卒業式にはドラマが・・・
  • 大学生の視点から
    コーチング体験記
  • とんとこの風景⑫
    「かたづけ」ことはじめ
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