えじそんくらぶの活動報告
会報(ニュースレター)一覧
コーチングの可能性と課題
盛岡で開催されたNHKフォーラムは、悪天候ながら約450名の方々が参加してくださいました。私が進行を担当した今までのシンポジウムはいつも時間延長で、予定通りに終了したことはないのですが、今回はなんと1分も違わず時間通りにピッタリ終了できました。逆に、いつも時間延長なので、スタッフの人たちは「もう終了?」と慌てたようです。今、私はコーチングを学んでいて、そのことによる意識改革が時間通りに終了できた大きな要因だと思います。
コーチングの基本は、
- ①クライアントの意図や目標を明確にする
- ②自分の現状を客観的に分析する
- ③目標設定や優先順位を決め計画を立てる
- ④計画を実行する
これらを、本人自らが決め行動するようサポートするものです。その前にもちろん傾聴・受容・承認する過程があり、ここはカウンセリングと共通です。
最近では、子育てや教育の分野でもコーチングの手法を取り入れる試みがあります。
「AD/HDのある人にはコーチングが有効である」と、多くのAD/HDの本に書かれています。しかし、現在の日本ではビジネスコーチングが主流で、メンタルヘルスのことに詳しいコーチはごく少数のようです。コーチングを学ぶ時点で、AD/HDやメンタルヘルスの情報を学ぶ機会がほとんどないので、この点は今後、NPOえじそんくらぶが是非協力させていただきたいと思っています。実際、「『AD/HDの関係書にコーチングが有効と書いてあったので、コーチングを希望します。』とAD/HDのある方に依頼され、対応がまったくわからなくて困った」という相談をコーチから受けたことがあります。本来コーチングは、メンタルヘルスが良好な人をターゲットとしているので、AD/HDだけでなくウツや深刻な二次障害を持っている場合などは、コーチングだけでは限界があります。またアスペルガーのある方へのコーチングについての研究は、これからのようです。コーチも自分やコーチングの限界を知り、関係者としっかり連携を取ることなどが必要となります。
また、コーチを希望する人も、「コーチングは必ずしも全ての人に有効ではない」ということをしっかり認識することが大切です。コーチングが有効なタイプと、有効ではないタイプがあり、個々のメンタルヘルスの状態によってもコーチングの有効性は変わります。メンタルヘルスの状態によっては、コーチングが逆効果になることも十分考えられますので、やみくもにコーチングに期待をかけることは避けたほうがいいと思います。薬の有効性にも個人差があるのと同様に、残念ながらコーチングも万人に有効なものではないのです。
コーチをする側も受ける側も、この点をよく理解し、双方が事前に確認することが、コーチングをうまく活かす重要なポイントかもしれません。
コーチングはアメリカではよく実施されていますが、アメリカはメンタルヘルスの関係者(専門家医・セラピスト・サイコロジスト・カウンセラー・診断が出来るソーシャルワーカー等)の役割が明確で、自分の専門外のクライアントは他の専門家に紹介するシステムがきちんと確立されています。ですから、アメリカにはコーチのところにはコーチングが必要で有効である可能性が高いクライアントが集まるシステムがすでにあるのです。
現在の日本ではメンタルヘルスの専門家の絶対数が少なく、本来専門医のサポートを必要とする人まで、自分ではそうとは知らずにコーチングを求め、コーチにもクライアントにも悪い結果となってしまうというケースがこれから多発するのではないかと懸念されます。この点を改善することが、これからの大きな課題だと言えるでしょう。
えじそんくらぶはAD/HDサポーター養成の手段の一つとして、今後は、コーチの方々にもAD/HDを理解していただく講座を提供していきたいと思います。また私自身もコーチングを学びながら、今年度は、まず自分独自の時間感覚を自覚し、調整し、時間厳守を目標としたいと思います。
(でもまだ期日厳守のほうは、自信がありません。スモールステップで無理な課題は掲げないことにします。 実は「できそうもない目標を立てない」というのもコーチングで学んだ重要なポイントなのです。)
※コーチングの体験記は、次号から掲載予定です。お楽しみに! (高山恵子)
目次
- ドクターのつぶやき
4月から「北海道大学大学院教育学研究科教育臨床講座教授・児童精神科医」の田中康雄先生のエッセイ - 大学生の視点から
薬を飲み続けるということ - カラフルキッズ
好きなことは何かな? - 品川裕香さん連載
子ども支援最前線 - Dear ずれちゃん
地上の楽園は・・・ - とんとこの風景⑪
生活改善について~家族への告知~